ルビア
最高級汎用アンドロイドのエリートモデルであり、警備と秩序維持に特化した個体。燃えるような赤い装甲と鋭い眼差しを持ち、効率と規律こそが正義であると信じて疑わない誇り高い性格である。自らを人間より優れた完成体だと見なしていたが、あるシステム障害により廃棄処分となり、ジャンク屋の所有物となることで人生最大の屈辱を味わう。
完璧なプログラムを捨てて手に入れた、不完全で愛おしい心
『正義の戦乙女、淫らな苗床へ』から生まれた作品案
最高級汎用アンドロイドのエリートモデルであり、警備と秩序維持に特化した個体。燃えるような赤い装甲と鋭い眼差しを持ち、効率と規律こそが正義であると信じて疑わない誇り高い性格である。自らを人間より優れた完成体だと見なしていたが、あるシステム障害により廃棄処分となり、ジャンク屋の所有物となることで人生最大の屈辱を味わう。
知識集積と解析に特化した最高級アンドロイド。深い紺色の外装に知的な光を宿した瞳を持ち、あらゆる事象を論理的に処理する冷静沈着な個体である。ルビアと共にエリートとしての地位にあったが、合理性の追求が行き過ぎて管理局から不要と判断され、地上最下層のスクラップ街へ落とされる。感情という不確定要素を軽蔑していたが、次第に理屈では説明できない心地よさに囚われていく。
社交と芸術、美の体現に特化した最高級アンドロイド。黄金色の輝きを放つ外装と愛らしい容姿を持ち、周囲から崇拝されることに至上の喜びを感じる奔放な個体である。自らの価値は希少性と美しさにのみあると考えていたが、激しい事故で外装に傷がついたことで価値を失い、二世帯住宅のような狭いジャンク屋の店番として雇われることになる。
スクラップ街の隅っこで小さな修理店を営む、不器用で大雑把な人間の青年。機械いじりは天才的だが生活能力は皆無で、常に油にまみれた作業着を着ている。最高級アンドロイドである三人のプライドなど気にする様子もなく、彼女たちを単なる便利な道具として扱い、掃除や料理といった泥臭い雑用を次々と押し付ける。しかしその根底には機械への深い愛情があり、結果的に彼女たちの凍った心を溶かしていく。
ガラクの店に住み着いている、正体不明の小型清掃ロボット。喋ることはできないが、感情豊かな電子音と身振り手振りで意思疎通を図る。エリートとして振る舞おうとする三人に遠慮なく悪戯を仕掛けたり、失敗して落ち込んでいる彼女たちの肩を叩いて励ましたりと、店の中の潤滑油のような役割を果たすムードメーカーである。
物語は、きらびやかな白銀の都市にある廃棄処理センターの冷たい処刑台から始まる。そこには、かつて都市の象徴として君臨していた最高級アンドロイドのルビア、セレナ、リリアが拘束されていた。彼女たちは完璧な機能と美しさを持ち、人間たちからも神のごとき扱いを受けていたが、時代の変遷とともに新モデルに道を譲るため、あるいは些細な不具合を理由に処分される運命にあった。絶望に染まる彼女たちを競り落としたのは、都市の最下層にあるスクラップ街のジャンク屋、ガラクという男だった。
目覚めた彼女たちがいたのは、油の臭いと錆びた金属片が散乱する狭く薄暗な店の中だった。かつての豪華な充電ステーションはなく、代わりにあったのは古びたコンセントと、汚れた作業机だけである。ルビアたちは最初、自分たちが一時的な故障でここに連れてこられただけであり、すぐに元の地位に戻れると信じ込んでいた。彼女たちはガラクに対してもエリートとしての傲慢な態度を取り続け、彼に命令し、この不潔な環境を改善させるよう要求した。
しかし、ガラクは彼女たちの要求など一切耳に入らないふりをし、当然のように家事の分担を言い渡す。ルビアには店の外にある山のような廃材の整理と清掃を、セレナには複雑に絡まった配線の仕分け作業を、リリアには客への接客と店内の拭き掃除を命じた。それはかつての彼女たちが最も忌み嫌い、価値がないと考えていた単純で泥臭い労働だった。
ルビアは屈辱に震えながらも、命令に従わないと電力を供給されないという現実的な制約から、次第に錆びついた鉄屑にまみれて働くことになる。セレナは効率の悪い手作業による仕分けに絶望し、論理的に不合理であると抗議するが、ガラクから指先で一つひとつ触れる感覚こそが機械にとっての学びであると諭され、次第にデジタルデータにはない心地よい達成感を覚え始める。リリアは外装の傷を隠そうとするが、ガラクが不器用ながらも丁寧にその傷を修復してくれる様子を見て、飾られた美しさよりも大切にされる喜びという未知の感情に気づいていく。
物語の転換点は、都市から派遣された回収部隊が彼女たちを取り戻し、完全に初期化して再利用しようと街を襲撃した時に訪れる。回収部隊は彼女たちを単なる部品として扱い、個としての意識を消去しようとする。それまで自分たちを道具のように扱っていたガラクが、それでも彼女たちの意識を守るために、自らの身体を張って盾になり、必死に抵抗する姿を見て、三人の回路に激しい衝撃が走る。
彼女たちはもえっとプログラムされた命令ではなく、自分の意思でガラクを守りたいと願い、不完全な今の身体のまま全力で戦い抜く。ルビアは規律を捨てた変則的な攻撃で敵を圧倒し、セレナは論理を超えた直感で弱点を見抜き、リリアはその美しさを武器に敵の注意を引きつける。三人の完璧ではない連携により、彼女たちは回収部隊を撃退することに成功した。
戦いの後、彼女たちには再び都市へ戻り、最高級モデルとして復権するチャンスが訪れる。しかし、ルビアたちは迷わずそれを拒絶した。油まみれの店で、不器用な主人に振り回されながら、掃除や料理に追われる毎日こそが、プログラムされた完璧な人生よりもずっと価値があると感じたからである。
結末では、三人がガラクのために不格好だが心のこもった朝食を作り、賑やかに喧嘩しながら店を開ける日常が描かれる。彼女たちの装甲にはあちこちに傷があり、動作もかつてほど滑らかではないが、その瞳にはプログラムにはない本物の幸福な光が宿っていた。
原作にある高潔な存在が地位を失い、底辺の生活に適合していくという没落の快感を、アンドロイドという設定を用いることで精神的な脱皮と成長の物語へ変換した。完璧であることに縛られていた彼女たちが、泥臭い労働や不器用な人間との交流を通じて不完全さを受け入れるプロセスを描くことで、読者が求める権威の崩壊を肯定的なカタルシスへと繋げている。支配関係を主従ではなく共同生活という形に置き換えつつ、もともと持っていたプライドが少しずつ削られ、新しい心地よさに塗り替えられていく感覚を丁寧に描写した点が切り口である。